いろんな「好き」があるの…


貴方への「好き」が、何か気付かないでごめんね 


いっぱい、いっぱい、傷つけてしまったのかな


これからは、素直に認めるよ


   大好きって、貴方に届くように……









- MY HERO -









教室の窓から見えるテニスコート。

ここは校内でも特等席な場所だと思う。

机にお菓子を広げて、いつもの放課後の風景。

ココで、仲の良い子たちとテニス部の練習をこっそり覗き見するの。

「あー、ブン太先輩やっぱカッコ良いよねぇ」

思わず溜息付きでそう言うと、目の前のが私の額をピンっと指ではじく。

「泣きたかったら、泣いちゃいな?」

「・・・・・・・うん」

うん。泣きたいのかもしれない。

でも、泣き顔見られるのとか、凄い嫌で。

ソレ知ってるから、はそれ以上何も言わないで居てくれる。

今日、知った事実。


ブン太、彼女出来たって知ってた!?

ほらっ 隣の駅の近くにある女子校の子でぇ

えええ! お嬢様じゃん!!

それもね、ブン太の方が告ったんだって!!

何ソレ、羨ましぃ!!


3年の先輩たちのそんな会話、聞こえてきて。

廊下で立ち尽くしたまま、固まってた。

…?」

ずっと憧れてて、好きだった先輩。

夏休みに入る前に告ろうって決めて、必死におしゃれとかしてきたの。

ネイル塗っちゃうと怒られるから、ピカピカに磨いて。

リップは少しだけピンク色のヤツで。

髪だっていつも以上に気合を入れて、可愛く見えるようにって…

なのに。

今日の終業式は、サイアクの誕生日になった。

「お前、今の聞こえてた…よな?」

「赤也、知ってたの?」

「・・・・・わりぃ」

俯いた赤也の顔、殴ってた。

反射的に、ぐーで。

「知ってて、私がブン太先輩の事、話すの黙って聞いてたんだ?」

「ちがっ」

「楽しかったでしょ? バカな女が一人で勝手に浮かれて恋してて…」

私、何言ってんだ…

っ 落ち着けって…」

歪んだ視界に、赤也が困った顔してるの、分かってて。

自分が言ってる事も、ただの八つ当たりだって、分かってて。

それでも、止まらない。

そして、絶対に言ってはいけない、一言。

「赤也なんか、大っきらい!!」


駆け出した私を呼び止めるの声がしたけど、無視して必死に走った。

どうせ後は全校集会とHRだけだし、さぼったって良い。

いや、良くないけど… 今、人前に出れる顔、してない。

校舎裏でしゃがみこむ。

私、赤也とは1年のときから仲良くて、その時にはもうブン太先輩のこと好きで。

同じテニス部だから、かなりいろんな事、聞いたりしてた。

だから、ガムはグリーンアップル味が一番好きとか、こっそり知ってる。

ファンクラブのお姉さま方は、ブン太先輩の言ってる「何でも好き」を信じてるからね。

「アレ…先客……」

ふとした声に、体がびくって反応する。

だって、この声…

「お前、赤也のクラスのヤツじゃん」

ぷぅっと芸術的にガム膨らませて、制服のズボンのポケットに両手突っ込んでこっち見てる先輩。

間違いなく、丸井ブン太さんで。

今日、私が告る間もなく、失恋決定な人だった。

「何、泣いてんの?」

隣に私を同じ様にしゃがみこんでる。

泣いた顔、ごしごし手で擦ったら、その手を掴まれて、タオル渡された。

「ごじごじしたら、顔赤くなんだろうが」

「・・・・・あ、りがとうございます」

上手くお礼も言えない。

「で、赤也と喧嘩でもした?」

俺でよければ聞いてやるよって、飛びきりの笑顔向けられた。

赤也と喧嘩して、私がココで泣いてるって思ったのかな…

ある意味、ソレ間違っては無いんだけど。

「赤也のヤツもな、ほんと付き合ってる女泣かせて、まだまだ子供だよなぁ」

・・・・・・・・・・え?

今、ブン太先輩、何言ったの…?

あまりにびっくりして、涙も止まって、ブン太先輩の顔、じっと見つめる。

そんな私に、ブン太先輩も吃驚したのか、こちらを凝視していた。

「…アレ、お前ら付き合ってんじゃねーの?」

暫くした沈黙の後、大きな瞳さらにおっきくさせて、聞かれる。

思いっきり首を横に振って

「違いますっ 私が好きなのは、ブン太先輩で!!」

言ってしまってから、慌てて両手で口元押さえたけど、後の祭り。

言った言葉、取り消せなくて。

申し訳なくて、俯いてしまった。

今、彼女が出来て幸せな人、こんな変な女から告られても迷惑なだけだよ…

「お前、ソレ本気で言ってんの?」

優しかったブン太先輩の雰囲気が、一気に怖くなった。

コクンッと小さく頷くと、はぁーって大袈裟に溜息を吐かれる。

「あのな、俺のドコが好きなわけ?」

明るくて、テニス上手くて、天才的なトコ…

なんて、しどろもどろに答える。

「確かに俺は天才的だけど…」

いや、ソコ肯定するんですか?

「お前が一番傍に居て、楽しいって思ったり、一緒に居て欲しいって思うヤツ、誰?」

・・・・・・・誰?

ふと、頭の中に浮かんだの、ブン太先輩じゃなかった。

ぽんって頭優しく叩かれる。

「ほら、そいつが迎えに来ただろぃ★」

指差された方向から、汗だくの赤也が走ってくるのが見えた。



「で、どーなったの?って、まだ聞かない方が良いんだよね?」

「うん。もうちょっと待って」

あの後、赤也にバカって散々文句言われて、何故か抱きしめられて。

放課後一緒に帰る約束、しちゃって。

(今日は、早く帰ろうと思ったのに…)

いつものように、テニス部の練習、ココから見てる。

、先に帰るよー」

「うん。バイバイ!」

「また、メールするね。明日のカラオケ、忘れんなよ!?」

「おぅ!!」

と他の子たちの後姿見送りながら、視線をもう一回コートに戻す。

私、ココでずっと、あの人たちの姿見てたんだなぁ…

「憧れと恋、間違えんなよ?」

そんな事、ウィンク付きで言われた。

憧れ…だったのかな。

ブン太先輩への想い、憧れとかそんなんじゃなかった、って思う。

でも、多分、傍に居てほしいのは、ブン太先輩じゃなかったんだ。

いつもいつも、近くに居て、一緒に笑ってたの。

赤也、だから―――


まだ、「好き」とか、言えない…

でも、一番、近くで君の事、見てても良いかな?

素直じゃない私だけど、きっと分かってくれてるよね。


もう少しだけ、待ってて。

貴方のバースディには、きっと……





     end




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花芽ちゃん、ハピバ!!!

遅くなってゴメンねΣ(゜Д゜;≡;゜д゜)

そして、赤也大好きな花芽ちゃんへの捧げモノだから、と張り切ったにも関わらず

赤也の出番少なくてゴメ…

返品・書き直し承ります。

花芽ちゃんにとって、今年が素敵な1年になりますように!!






どうしよう、素敵すぎてどうしたら良いんだろうあたし・・・!!
花衣さんに16歳BD祝として頂いちゃいましたv
心の底から感謝です!!