忍足、宍戸、向日の携帯にメールが入ったのはそのすぐ後のこと。
FROM:跡部景吾
TITLE:無題
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昼休み部室。
用件だけの短いそのメールに含まれた跡部の怒りを読み取った3人は、これは遅刻したらまずいと悟った。
Fericidades3
そして、早くも昼休み。
「全員揃ったな。」
「何だよ跡部、急に呼び出して。」
岳人が弁当を広げながら口を尖らせる。
そんな岳人を無視し、跡部は用件をきりだした。
「お前らにも来たな?」
指示語がないこの言葉でも、3人は同時に今朝の一通の手紙のことだと分かる。
「やっぱこの4人に来たんやな。」
「あれお前らの下駄箱にも入ってたのか?」
「こんなことすんなって・・・。」
「しかいねーだろ。」
「やっぱお前らもそう思ったか。」
「この学校にあんなくだらんことする奴1人しかおらんやろ。」
「あいつの凄いとこは、あれで自分が犯人だとバレてないって確信してるとこだよな。」
「俺席隣やん?のいつも通りを装ってる様に、怒り通り越して悲しくなったわ。」
「本当つくづく残念な女だよな。」
「それでどーすんだよ跡部。俺らを呼んだってことは何か考えあるんだろ?」
「あー?何で俺様がのこと考えるのに貴重な時間割かなきゃいけねーんだよ。考えなんてあるか。」
「じゃあ何で呼んだんだよ!!俺てっきり跡部がの息の音を止めにいくと思ってたのに!!」
「手紙もらってすぐ殴りこみにいくと思ってたんだけどな。」
「せやけど跡部ウチのクラス来たんやろ?女子が騒いどったで?」
「あいつが教室にいなかったんだよ。」
「逃げるなんてらしくねーな。」
「まぁ朝っぱらから激しい戦い見なくてすんだんだから結果的には良かったんじゃねーの?」
「朝一であれ見せられたときの不快感は俺らが1番よく分かってるもんな。」
「平気で周りの人巻き込むからな。」
今までの数々の大惨事が脳裏をよぎり、途端に嫌な気持ちになる3人。
この表情からどれだけ辛い思いをしてきたのかが容易に想像できる。
「すすんで嫌な気持ちになんのやめよーぜ!!話戻すぞ。」
「そうだな。の精神破壊力の大きさを今更ながら恐ろしいと思ったぜ。」
「・・・お前ら今日の放課後行くか?」
「俺様は行くぜ。」
「跡部行くんなら俺も行くわ。」
「じゃあ俺も行こうかな?」
「・・・何でお前らそんな乗り気なんだよ。激ダサ。」
「売られた喧嘩買わねぇでどうすんだよ。あーん?」
うんうんと跡部の発言に首を縦にふるダブルス2人組。
「・・・お前らはそういう奴だったな。」
「何だよ!!じゃあ宍戸は行かねーの!?」
「どーすっかな・・・。」
「ノリ悪いなぁ宍戸。あかんで?そんなノリで大阪でやってけると思うとんのか?」
「別に大阪行く気ねーよ!!」
「曖昧だから変な女に『宍戸君ってもっとズバッとしてる男らしい人だと思ってた。』とか付き合ってもないのにフラれんだよ。」
「お前どうせ『俺の魅力はこのギャップだ』とか勘違いしとるんやろ?」
「そうやって数々の女を手玉に「うっせーよ馬鹿ダブルス!!!行けばいいんだろ!?」
「・・・宍戸、お前流されやすいな。」
「あることないことベラベラ喋られたらしょうがねーだろ・・・。」
岳人がコーヒー牛乳のパックを片手で握りつぶしながら豪快に笑い声をあげる。
「せやけどあっちは策立ててきとるんやし、こっちも何か考えんとまずいんちゃう?」
「安心しろよ。俺様があの単細胞女の策に溺れると思うか?」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべた跡部を見て、こいつが味方で良かったと心の底からそう思った3人。
「でもの悪巧みにかける情熱は計りしれねーからな・・・。」
ボソリと呟いた宍戸の珍しく核心をついた呟きは、誰の耳に届くこともなく消えていった。
「だからハムスターにとって向日葵の種はキャビアのようなもんだってば。」
「そんな高価な代物じゃないよジロちゃん。ふりかけレベルじゃないかなぁ。」
「ふりかけって白米ないと役に立たないじゃん。」
「単品でも意外といけるよ?おかかがパリパリしててお薦め。」
「そんなことしたの!?」
「い、1回だけだよ!?そうするしかなかっ・・・た・・・。」
「何?どうしたの!?」
「・・・今もの凄い悪寒がした。冷や汗出そうになった。」
「風邪はひきはじめが肝心だよー?またお腹出して寝てたんだ。」
「ううん、風邪とかじゃにから大丈夫。元気だから。ラジオ体操第56番とか踊れるくらい元気だから。」
「嫌なこと起きないといいねー。」
そんなニッコリ笑って恐ろしいこと言わないでください。
「そういえばさー、俺に用事があったから一緒にお昼食べようって言ったんじゃないの?」
「あ、そうそう。あのね、今日の放課後暇?部活休みじゃん?」
「暇!!なになに、何かあんの!?」
「絶対言わない?」
「言わない。」
「他言したら忍者に抹殺されるよ?」
「言わないから俺平気。」
「じゃあジロちゃんを信頼して、今からあたしは超機密事項を話します。」
「イエッサー!!」
ここは教室。テニス部の面々は見当たらないけど、このご時世どこから情報が漏れるかなんて分からない。
あたしはキョロキョロとあたりを見回し、誰もこちらに注意を向けてないことを確認したうえで、ジロちゃんの耳元で作戦を話した。
「まじまじ、すっげぇー!!ねぇ、本当にそれやんの!?」
「そうだよ、計画中なの。だからね、ジロちゃんには協力してもらいたいわけよ。」
「うわー、俺ドキドキしてきたー!!!」
「あくまでも総司令官はあたしだからね?あたしの許可なしに勝手に行動するのはご法度だよ?超独裁だからね?ヒットラーだからね?」
「分かってる分かってる!!ドクサイってのが何の食べ物かは知らないけど、俺ヒットラーは知ってる!!あの髭のおっさんでしょ?」
「ちょっとジロちゃん!!ヒットラーの前で髭のおっさんとかそういう暴言はいちゃ駄目だよ!?
皮膚1枚ずつ剥がして殺されたり、餓死させられたり、生き埋めされたりするんだよ!?」
「・・・俺暴言はかない。」
さっきまでやたらテンションの高かったジロちゃんも、あたしの口から発せられた末恐ろしい処刑に事の重大さを分かってくれたようで良かったです。
まぁヒットラーが実際にそんな処刑行ったかどうかなんてあたしの知ったこっちゃない。
「分かってくれたなら良かったわ。だからジロちゃんは計画の邪魔しちゃいけないんだよ?」
「うん。俺頑張るね。」
素直っていいよね。どっかの誰かさん共には1ミリたりとも備わっていないときめきアビリティに頬が緩むあたし。
「じゃぁあたし次移動教室だからそろそろ行くね!!後は計画通りに頑張ろう!!」
「うん、頑張ろうねー!!」
1つの目標に向けて一致団結する姿って青春っぽくていいよね。
あたしはジロちゃんに手を振り、教室を後にした。
・・・ほのぼのランチタイムもここまで。午後の授業はボスらしく作戦の脳内シュミレーションといきます。
あたし、ファイオーッ!!
2話の更新と3話の更新の間があまりないという珍事件(言い切った)
授業中必死で頑張ったb
完結まであとどれくらいだか検討もつきません。
誰か助けてください・・・。