「跡部、あんまイライラすんなよ。な?」
「お前がの代わりになるっていうのか岳人?」
の代わりというのはここでは跡部の怒りを引き受けるということ。
そんなの冗談じゃないと首を激しく振り、岳人は口を閉ざした。
「跡部、立海の奴らひいとるやん。」
「あ?そんなの知ったこっちゃねーよ。」
「先輩が親戚の家から直接立海に向かうって言った時点で無理にでも引き止めるべきだったんですかね。」
「あいつに電車の乗り換えなんて高度なことが出来る筈なかったんだよな。」
「・・・やっぱり電話出ないC」
「いくら先輩でも遅刻の電話を寄越さないはずないですから、携帯の電池切れてるんじゃないですか?」
「八つ裂きにしてやる・・・。」
ボソッと末恐ろしいことを呟いた跡部に恐怖を抱いた氷帝メイツはこれ以上の話をしても自分に害が及ぶだけだと判断し、練習に励むことにした。
「跡部、まだは到着していないようだが、練習試合を開始してもいいか?」
「ああ、構わねえぜ。」
「殺される・・・。」
みなさんこんにちは。絶望を犇々と感じている女子中学生のです。
あたし明日はこの世界に存在してるのかなっ!
・・・笑えない。
昨日は法事で神奈川の親戚の家に出掛けて、今日は神奈川の立海大附属中で練習試合です。
神奈川から神奈川だもん。そりゃ家に帰らずに直接行こうって誰もが思うよ。
それに立海には一度迷わずに行けたしさ、電車の乗り換えがちょっとだけ苦手なあたしも調子に乗ってしまったんです。
昨日の夜久しぶりに会った従姉妹のみぃちゃんと夜通し語りあってしまったのも1つの原因かもしれません。
女の子らしく恋バナに花を咲かせましたよ。
恋バナだよ恋バナ!
友達以上恋人未満の人に告白されて困ってるとか好きな先輩がどうだとか、そういうリアルな女の子の世界ですよ!
要するに今のあたしには無関係な世界ですな。
わー言っちゃった!!悲しいこと言っちゃった!!
・・・テンションがおかしいのは追い詰められているからです。
精神的にだいぶギリギリだからです。
長々と考えを張り巡らせてみたけど、つまりあたしが迷ってしまったせいで立海との練習試合に遅刻して跡部の怒りをかっているということです。
ほら、東京→神奈川と神奈川→神奈川じゃ逆方面じゃん?
しかもこの前とは違う電車で来てるわけだし大きい駅で乗り換えもしたし。
途中で気付いたから跡部に電話をかけようと鞄から携帯を取り出したところ充電がきれました。
EMPTYという非情な画面とともに電子音が鳴り響きました。
何の罠なんでしょうか。何かの前哨戦が始まるんでしょうか。
とりあえず駅員さんに聞いたりして立海の最寄り駅に行こうと必死なんですあたし。
ちなみに暫く経って恐る恐る携帯を起動してみると、おびただしい数のメールと着信履歴が確認できました。
そのあとすぐ充電切れたから見ただけなんだけどね。
そんな些細な時間でも跡部の怒りを確認するには充分でした。よーく分かりましたよ。
もう本当行きたくないよちくしょう!!!