「ぎぃぃぃゃゃゃやぁぁぁぁぁあああ!!!!!」
あたしは声が枯れんばかりに叫び声をあげて、部室から飛び出した。
隊長!!敵兵の出現であります!!
全世界の乙女の敵が出現したであります!!
乙女の敵というか全人類の敵というかあたしの敵というか兎にも角にも敵であります!!
「何だようっせーな。」
「ややややややや奴がで、で、出たんだよ!!!世界全勢力が恐れる人類の黒幕的存在の奴が現れたんだよ!!奴ならサミットでも何でもぶち壊しにできると思う!!」
「とうとう日本語も喋れなくなったのかお前。」
「先輩、ちゃんと説明してください。」
「Gよ!!Gの野郎が部室に出現したのよー!!」
「Gって・・・ゴキブリのこと?」
「そうよそれ!あぁ、名前を聞くのも耐えがたい。」
「ゴキブリ程度でがたがた騒ぐんじゃねーよ。お前この前焼いて食ってただろ。」
「食べてないよ!!そういう分かりやすい嘘つくのやめてよね!?」
うら若き乙女がそんなことするはずないだろうが!!
ただあたしに暴言吐きたかっただけなんだろうけど、よくもまぁこうもいけしゃあしゃあと嘘つけるよね。
今は緊急事態でそれどころじゃないっつーのに跡部め!!
このままじゃ部室に入れないから、と駆除を頼んでみる。
あたしが本気でこいつらに頭下げることなんて滅多にないよ!
もう断言しちゃう!!本当今までに3回くらいしかないよ。
「俺も実はあんまり得意じゃないんですよねー・・・。」
「そうだよね!憎いよね!やっぱ長太郎は話が分かるわ。というわけで宍戸!!長太郎の相方として部員代表で駆除を頼んだ。」
漫画なら間違いなくビシィと効果音がつくような、そんなポーズで宍戸を指名する。
人を指差すのはいけないことだと分かってはいても、ついやっちゃう時ってあるよね。以後気を付けます。
「何で俺なんだよ!別にゴキブリが嫌いなわけじゃねーけどそんな面倒なことやってられるか。」
「、お前は女の姿をした男なんやで?ゴキブリなんかでで動揺したらあかんやろ。ゴキブリ駆除が出来ひん男は嫌われるで?」
「俺の知っている先輩は、虫如きで怖がるほど女々しくありません。」
「あいつら俊敏だからよ、戻ったらもう姿消してるかもしれないぜ?」
「お前なら握り潰せる。」
「口々に頼りにならないお言葉ありがとう。いいよ!あんたらのエロ本でGを叩き潰してやる!!」
「バカ、お前それはやめろよ!!」
「思い直せ!!」
「貴様らあたしよりエロ本が大切なのか。」