ー。あっちの店も見てみようよって何見てんのあんた!?

「え?アイスクリームをグワンてすくうやつ。」

「それは分かるけどさ・・・もういいや。」

「そんな簡単に諦めないでよ!!」

「あんたにいちい突っ込んでたらキリないでしょ。」

「駄目よ!!もっとハングリー精神で生きてかなきゃ!!」

「もうどうでもいいよ。」

「・・・何か最近あたしとの間に温度差を感じる。」








それはキセキのような










よく分かんないテンションでとショッピングに来てます。
今日は部活休みなんでね。
たまにはこうやって女の子らしくショッピングとかにうつつをぬかしててもバチは当たらないと思うわけです。


「あっ!!これ可愛いーv」

「・・・冷静な目で見なよ。それ本当に可愛い?」

あたしがそういうのも無理はないですよ。
・・・誰だっての手に握られてる妙にリアルなモヒカンハゲのぬいぐるみ見たらそう言いますって。


「えー。何かに似てるじゃん。」

「どこが!!??」

「・・・目元とか?」

「適当なこと言わないでよ!!あたしの目元はウェードゥル似なんだから!!

「ウェードゥルって誰よ!?」

「そんなこたぁどうでもいいから、さっき言ったこと取り消せー!!」


雑貨屋さんで口論するあたし達。
それより、何か今日着てる服裾のあたりに違和感あるなと思い下を見ると・・・。

「っっ萌え!!!」

あたしの服をギュッとつかんで涙目の上目使いで見つめてくる5歳児か1人おわすりやがります。
この子目が大っきめで可愛いんですけども!?
この角度が何とも言えないんですけども!?
お姉さん鼻血が出そうなんですけども!?


「ちょっと!!目が危険!!」

の言葉なんて聞こえてきません。
この坊やとしゃべりやすいようにしゃがむあたし。
・・・ポイントアップ!!!


「何処から来たの?(激スマイル)」

「うっ、うっ、うわあぁぁん!!!」

突如凄い勢いで泣き出す坊や。
周りは皆「あーあ。」的な目であたしを見てます。
違うよ!?ねぇ違うよ皆!?

「ど、どうしたの?迷子?」

優しく声をかけると、コクコクと首を縦にふる坊や。

「関わったからには責任もって家に届けてあげないとね。」

「うん。じゃあいっしょn「あたしガキ大っ嫌いだから。じゃっ。」

そう言い残すと彼女は爽やかに帰っていきましたとさ。
めでたしめでたし・・・。



「・・・あたしもかえr 「お姉ちゃん、おウチに連れていってくれるの?」

「え・・・!?」

「ありがとうv」

「いや・・・くっ!!お姉ちゃんが届けてやろうじゃないの!!」

この子は自分の可愛さを理解してこんなことをやってる気がしてならないのですけども。
・・・いい教育受けてんじゃない。

「・・・じゃあおウチまで行こっか。」

「うん!!抱っこv」

「お姉ちゃんバッグとか持ってるかr「抱っこ(ニコ)」

「・・・はい。」

満足気にうなずくと、あたしの腕の中にすっぽりとおさまる坊や。
ママン、この子は将来とてもたくましい子になりそうですよ。








「おウチは何処なの?」

「あっち。」

「結構近いのかな?歩いてきたの?」

「うん(ニコ)」

「お母さんは?」

その後も坊やに簡単な質問を浴びせかけ、戦隊モノの話で盛り上がりながら、あたし達は―というかあたしは歩いてました。
気付いたトキにはもう住宅街。
家はもうすぐかと聞くと、笑顔と共にうんという可愛らしい返事が返ってきました。


「この角曲がった所だよ!!」

「あっ、そうなの?てか1人で帰ってこれたんじゃないの?道筋完璧じゃんか。」

「んー?」

「・・・そうやってあどけない表情で全てをごまかすのね!!」

「ほら、ここが僕のおウチ!!」

見上げた先には、とってもとっても見覚えのある赤い屋根。
まさかと思い、見た表札にはとってもとっても覚えのある漢字2文字。

「・・・坊やお名前は・・・?」

「向日草人!!」

震えた声のあたしの質問に、今まで同様笑顔と共に答えをくれる坊や。否、向日草人。

「・・・お姉ちゃんここから先は進めないのよ。坊や、お姉ちゃんのことは気にしないで。大丈夫!!あなたはもう十分1人でやっていけるわ。ほら、あと1歩踏み出すだけで快適な空間に辿りつけるわよ?」

「お姉ちゃんも一緒じゃないと嫌!!」

「そ、そんな目でじっと見つめたってあたしの意志は揺るがないわよー!!み、見くびらいで!!」

「今おウチに誰もいないの。僕1人怖いよお姉ちゃん。」

「くっ・・・くっ・・・!!!・・・玄関までね。」

「うんv」

ガチャリ


「うわぁ、本当に岳人んチだよ。3日前に来たばっかだよ。」

「なぁに?」

「・・・何でもない。」

玄関までという話だったのに、ついノリで家にあがってしまい、取り返しのつかなくなったあたしは、坊やと戦隊モノのビデオを見て、オープニング熱唱したり怪獣ごっこをしたりと相当盛り上がりました。
我を忘れるくらいノリノリでした。


「うおぉ!!拙者はまだ負けぬ・・・!!」

「何のこれしき!!」

「うっ、うっ・・・!!!日光が眩しい・・・!!」

ガチャ


「あっ、お帰りお兄ちゃん!」

「えっ!!??」

氷帝R陣御一行様登場☆

「お、お前何で!!??」

・・・そりゃそうですよね。
家に帰ったら、マネージャーが戦隊モノのクライマックス熱演してる状況って素敵にミラクルですものね。

「お、お帰り岳人!!てへ・・・?」

・・・とうとう犯罪者か・・・。」

「岳人の弟をなぁ・・・。」

先輩・・・。」

「ちょっと皆!!あたしを可哀想な目で見てくるのはやめてよ!!」

「お前草人に何してんだよ!!」

「何もしてないってば!!むしろあたしは誉められる立場だっつーの!!!」

「児童暴行のどこが誉められるってんだよ。」

「煩い跡部!!何もしてないって言ってるでしょ!?ねぇ坊や!?って寝てるし!!!」

「何があったのか説明してくださいよ。」

「だからー!!!」

カクカクシカジカ(割愛)

「・・・あからさまに疑いの目を向けてくるのはやめてください。」

「いくら被害者が寝てるからって嘘つくのはどうかと思いますね。」

「そろそろ本気で怒るよ日吉?」

「だってってそんなに優しい子だったっけ?」

「ジロちゃん・・・それ結構くる。」

「まぁ信じてあげましょうよ。」

「そうだな。」

「何か納得いかねーけど。」

「納得いかないのはこっちよ!!!つーか何であんたら大集合してるわけ?」

「今日学校じゃテニスできねーから、皆でストテニ行ってきたんだよ。」

「ふぅーん。」

「もっと興味持てやお前!!」

「あたしは忍足と違って無駄にリアクションとらない人なの!!」

「人生無駄だらけのくせに。」

「何ですって跡部!!??」

「お前の人生が無駄だって言ってんだよ!!」

「あったまキタ!!あんたみたいに生きてるだけで資源を無駄遣いしてる金持ちと違って、あたしは質素に中身重視の銀閣寺みたいな生活送ってんのよ!!!

「お前のどこが質素だってんだよ!!生き恥じ晒すのもいい加減にしたらどうだ、あーん?」



岳人宅で早くも戦闘が起きそうです。
ていうか既に跡部が拳固めちゃってます。
その後あまりの騒々しさに坊やが目を覚まし、岳人が事実を確認したところ、あたしの発言が正しいことが認められたが、奴らはどうも納得がいかない様子。
そんなにあたしが危ない女に見えますかお前ら。













岳人の弟とか絶対凄まじく可愛いと思う。